大人のオモチャ
「ねえスイ、これ、見つけたんだけど」
なんて言いながら、ジュドーが満面の笑みを浮かべて私に見せたのは所謂『大人のおもちゃ』なるものだった。
私は始めて実物を見たのと、それを廊下のど真ん中で堂々と見せられたのとで頭が一瞬思考停止した。
……うん、あの、それを私に見せてもね。一体どうすればいいんですか。
思うことはたくさんあったけどちょっと状況を処理しきれなくて、私は大雑把で間抜けなことしか返せなかった。
「………………どこで?」
「見つけたっていうか、キャラやヤザンさんとかに貰った」
「さすが汚い大人汚い!!!」
子供になんてもの渡してんだ教育に悪すぎるだろ!! てゆうかなんで渡したの!? そんなのご自分でお使いになればよろしいじゃないですか!
「それでさ、使ってみたいんだけど、ダメ?」
ダメに決まってるだろ。
絶対私であんなことやこんなこと試そうとしてるでしょ。首をかしげても駄目だから、全然かわいくないから。逆に笑顔でOKが貰えると思ったのこいつ。
「それ、エッチのときに使う道具だよ? たぶん裸とかにならないといけないヤツじゃないの?」
「もちろん知ってますよ! ついでにスイの裸も見られたらラッキーだなって思ってさ。あははっ!」
「私ジュドーのそういうところ嫌いじゃないよ」
そこまで堂々と言われたらいっそ清々しいわ。
「んじゃっ、お互い好きな者同士やっちゃいましょう!」
「好きだとは一言も言ってないじゃん! あっ、こらバカっ!」
いつのまにかお姫様抱っこされた! そしてそのままジュドーの部屋に直行! 百里もびっくりのスピードと行動力だよ!!
「どいて、どいてよジュドーっ!どいてったら!」
叫びながらジュドーの胸元を叩いても、奴ははなんのその。にこにこしながら私をベッドに放り投げた。本当にベッドに投げ出されたんですけど。だいぶ痛かったんですけど。
それでもこれからやらされることを考えると嫌な予感しかしないので、痛みに絶えてすぐ逃げようとしたら、ジュドーが両腕を押さえて私の上に股がった。
力を入れてもびくともしない。ジュドーって、こんなに力強かったっけ? ここに来て私は、逃げられないことを悟り急に怖くなった。
「じゃあまずはこれからいきましょうか」
ジュドーはいくつかのおもちゃの中から、卵形のバイブを取り出してスイッチを入れた。小さく音を立てながら、バイブは震える。
「っ……」
バイブが、私の胸に押し付けられた。一瞬、体がぴくりと反応する。
ブラジャーの上からだから、そんなにバイブの感覚はないけど、こんなことをされてるって実感と、ジュドーに胸を触られてるって事実が、私を熱くさせた。
私、絶対顔が真っ赤だ。だって自分でもわかるくらいすっごい熱いもん。
恥ずかしくて、目を瞑って顔をそむけた。ジュドーに、胸も、顔が赤いところも、私が感じてる所も見られてるんだ。そう思うと、どうしようもなく心臓が暴れだしてたまらなかった。
「へーえ? やっぱりココって感じるものなんだ」
そんなことない。そういうんじゃない。
私は小さく首を振った。
「ジュドー、やめて、お願い……」
「ココとか、どうなるのかな?」
「んんっ!」
バイブが私の下半身に当たった。服の上からだけど、さすがに、これはやばい。さっきよりも体がびくりと疼いた。
体から一気に力が抜けた。股下がくすぐったくて、足をばたばたさせながらジュドーを蹴るけど、全然ダメージはないらしい。全く気にすることなくバイブで私の下半身をまさぐり始めた。
バイブが動く度に、体が反応してしまう。
なんだか、だんだん、ジュドーの手や、体温を意識するようになってきた。ジュドーの呼吸が聞こえるのが、ちょっとだけ私を掴む手が動いたりするのが、私をぞくぞくさせる。
なにこれ。私、おかしくなってる。興奮してるってこと?
「あははっ! なんか不思議だなあ」
私のとまどいを余所に、ジュドーは屈託のない笑顔で笑った。その笑顔ですら、どきっとしてしまう。いつもは絶対こんなことないのに、どうやら本当に私はおかしくなってるようだ。
「直接、もうちょっと激しくやったら男みたいにいっちゃうのかな」
なんだかとても、とても嫌な予感がした。
直接って、服越しじゃないってことだよね?さすがに、それはやばい。
我に帰って慌ててバイブを下半身から離そうとしたけど、遅かった。ジュドーは私のズボンを脱がせ、パンツの中に手を潜り込ませ直接蜜口にバイブを押さえつけた。
先程とは比べ物にならないくらいの快楽が全身を襲う。
「ジュドーだめ、来ちゃう、なんか来ちゃううっ!」
私はもう堪らなくなって、何も考えずにジュドーの両腕の服を握りしめた。
どうすればいいかわからなくて、どうしようもなくて、涙が出てきた。目に入らないようにと上を向いたら、ジュドーと目が合った。
ジュドーは一瞬、優しく笑ったかと思うと空いてるてで私をぎゅっと抱き締めた。
やだ、今そんなにぎゅってしないで。ただでさえクラクラしてるのに、そんなことされたら、たまんないよ!
「やだ、やだっ、あ、ああああっ!」
甲高い悲鳴が聴こえると共に、頭が真っ白になった。ひゅうっと息を飲み込む。
一瞬、とても気持ちよくなった。これがイクってやつ? 達したってやつなの?
頭がくらくらして、物事が深く考えられない。酸欠だから? ぼおっとしながら、大きく息を吸って、吐いて、呼吸を整えた。
蜜口からバイブが外された。意識が朦朧としてて、あんまりよくわからなかったけど、ジュドーが「ふーん、男みたいに射精とかはしないんだ」って言ってた気がする。
「なあスイ、大変申し訳ないんだけど、俺のやつもおっきくなっちゃったんだよなあ」
そう言ってジュドーは苦笑いをしながらズボンを下ろした。出てきたのは、ぴんと上を向いてそそり立っている、どう見ても私のナカに入らなそうなものだった。
私はさっと血の気が引いた。
だって、今の私じゃ、どうやったって逃げられないもの。
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「スイー! 今度はこんなの貰っちゃったんだけど……」
「断る!!」